ダウンタウンに遊びに来ていたモンキー家。
ルフィがポツリと洩らしました。
「なぁ、エース」
「ん?どうした?」
「俺さぁ、誕生日パーティーやったけ?」
「……」
ルフィの誕生日は一ヶ月も前の話。
本人が忘れているのなら、このまま黙っておこうとエースは考えていた。
たいして収入がないのに、「宴」などと称して大騒ぎし、無一文になるのは目に見えていたからだ。
「やってねェよなぁ」
「…もう、たいぶ過ぎてんだろ。今更…」
「ケーキ食いたかったなァ」
何を想像しているのか容易く分かるその表情。
ルフィの口端から漏れる涎に、エースは苦笑いを浮かべた。
「仕方ねェなァ。金はそんなにねェから…」
「サンジに聞いてくる!!」
どうやら窓の外を通りかかったサンジを見つけたらしい。
キューを投げ捨て、ドタバタと走るルフィ。
「サーンージーー!!!!」
「よう、船長。元気だったか?」
「俺、誕生日だったんだぞ!」
「は?」
今更、コイツは何言ってんだ。
戸惑うサンジをあっさりと置いていってしまうルフィの思考回路。
「だから!明日、俺の家に来い!」
「明日!?」
「上手いもん作ってくれよー」
「上手いもんねェ…」
「待ってるからなー!!」
ブンブンと手を振って走り去るルフィを止めようとしたサンジだったが…
「お、おい。ちょっと待て!!…って、もう見えねェし」
既にルフィの姿は影も形もなかった。
翌日――
「よう、船長!来てやったぜ?」
「サンジのメシが食えるー!!」
「その前に…」
手を叩いて喜ぶルフィに差し出されたのは、丸くて緑の物体。
「うっひょー!!スイカだー!!!!」
「近藤さんからのプレゼントだとさ」
「うちの畑で取れた初物だ」
ルフィの口からは涎がダラダラと流れている。
「食っていいか?」
「おう、冷やしてきたから大丈夫だろ」
早速、スイカを切ることに。
なぜか切り役はルフィ。
厚い皮ごと食ってしまわないかと、サンジは心配したが…。
かなりの人数に取り囲まれてるしな、さすがにそれは出来ないだろう。
もうみんながスイカに夢中。
「ちゃんと等分にしろよ!!」
「一番大きいのは俺がもらうぜ」
なんて声まで飛んでいる。
「うまそー!!」
やはりルフィが一番に手を伸ばす。
それをきっかけにワラワラと集まりだす野郎共。
十数名集まって、女性はわずか一名って…。
ナミさんかロビンちゃん来ると思ったのになァ…。
みんながスイカに夢中になっている最中。
イルカさんはスイカに興味がない様子。
それよりも、開けっ放しになったルフィの寝室が気になるご様子。
シムイルカさんはイマイチ協調性に欠けている気がする。
協調性に欠けると云えば、この人も。
みんながスイカを食らう中、エースはサンジの料理に夢中だった。
ルフィの誕生日パーティーはまだ続く。
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