職場と家の往復の毎日が続いていた。
何処かへ遊びに行きたくても、金がない。
稼いできた金は食事代とメイド代、そして朽木の壊したシンクの修理代に消えてしまった。
「マジかよ…。」
つまらない。こんなにつまらないなんて思わなかった。
瀞霊廷にいた時は、隊舎に行けばたくさんの死神がいて。
誰かしらからかったりして遊んだのだが。
――ピンポーン
暇を持て余していたところに、来客を告げる音が鳴る。
玄関を開ければ、そこには三番隊の隊長『市丸』がいた。
「………。」
「………。」
「六番隊の副隊長さんは、ホンマノリ悪いなぁ。」
「す、すいません。」
「引っ越してきたばっかりで暇や思うてな。遊びに来たで。」
市丸はいつもの表情でヒラヒラと手を振って。
遊びに来てくれたのは嬉しいのだが、あのポーズはないよな。
苦笑いを浮かべた恋次。
ふと思い出す。
「そういえば…。どうして藍染隊長と一緒じゃなかったんすか?」
その言葉を聞いた市丸はニヤリと笑い。
「藍染さん、今忙しいらしくてな。ほら、あの人『天に立つ』とか言わはったやろ?」
「あー、そういえば。」
「今な、でっかい神殿建てとるわ。」
「まさか……藍染隊長一人で?」
「うん。」
爽やかに笑う市丸。
『神殿』を一人で建てられるものだろうか?
この人逃げてきたに違いねぇ。
絶対そうだ。
「面倒だから逃げてきた、ってことっすか?」
「大正解!!さすがやね。」
大げさに驚く市丸の姿を見て。
ほんの少し。
少しだけ。
藍染隊長が哀れに思えてきた恋次でした。
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